華やかだった在りし日の定子の様子を描いた『枕草子』は宮中で大評判となり、一条天皇も亡くなった定子がまだそこにいるようだと喜んだ。しかし、君主がいつまでも故人を偲んでいては政が立ちいかない。何より伊周が帝に取り入ろうと必死なのだ。
定子が亡くなってからも、一条天皇の心は定子への思いで満たされていた。彼は『枕草子』を読み返すたびに、定子の優雅な姿がまざまざと蘇るのを感じた。宮中の女官たちも、定子の美しい思い出話を交わしながら、その華やかな日々を懐かしんでいた。
一方、藤原道長は娘の彰子を一条天皇の後宮に送り込んだものの、天皇はなかなか彰子を寵愛してくれない。
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