東京板橋区の東武練馬駅近くの踏切で、30代の女性が電車にはねられて亡くなるという悲劇的な事故が発生しました。この事故の原因として、歩きスマホが指摘されていますが、本当にそれだけが原因なのでしょうか?この記事では、事故の詳細な経緯と背景を探り、その教訓を引き出します。

東武東上線の東武練馬駅にある踏切は、飲食店などが立ち並ぶ商店街の中に位置し、見通しは決して悪くありませんでした。事故が起きたのは午後7時半頃、帰宅ラッシュで駅周辺は混雑していました。
警視庁によると、31歳の女性は駅の改札を出た後、踏切を渡ろうとした際にスマートフォンを両手に持ち、画面を見ながら歩いていました。周囲の人々が遮断機が下り始めると急いで踏切の外へ出る中、彼女は立ち止まりました。数十秒後、左から来た列車に気づかず、そのままはねられてしまいました。
防犯カメラの映像解析によれば、彼女の顔は最後までスマホに向けられていたといいます。

現場に立ち、同じ時間帯に踏切の状況を確認しました。午後7時半は帰宅するサラリーマンなどで混雑する時間帯で、東武練馬駅では1時間に上りと下り合わせて17本の列車が停車します。急行や快速も多く通過し、頻繁に遮断機が下りている状況でした。
渡れる時間は1回あたり2〜3分程度ですが、遮断機が上がった瞬間に警報機が鳴り出すこともあり、急いで遮断機をくぐって渡る人々も見受けられました。しかし、女性は線路を渡った後、遮断機をくぐらずに手前で立ち止まりました。彼女は踏切の外にいると勘違いしていたのではないかと考えられます。

歩きスマホをしていたとしても、周囲の音で危険を察知できたはずです。現場では警報機の音に加え、踏切の外に出るよう警告する音声も流れていました。東武鉄道によると、当時列車の運転手は警笛を鳴らして女性に警告していましたが、イヤホンは彼女のバッグの中にあったことが確認されています。
早稲田大学の枝川義邦教授は、スマホの操作と脳の関係に詳しい専門家で、女性が踏切の外にいると勘違いした可能性を指摘しています。
教授によると、脳は1度に多くの情報を処理することができず、スマホの画面に強く引かれると他の情報を認識できなくなるというのです。

東京消防庁によると、歩きスマホによる事故で救急搬送されたケースは、過去5年間で東京都内だけで196件に上ります。これは一部自転車事故も含まれますが、歩きスマホがいかに危険であるかを示しています。
エッセイストの忍足みかんさんは、歩きスマホを克服するために自身に11のルールを課しました。その中には、「SNSと適度な距離を保つ」「スマホに触れる時間を決める」などの実践的な方法が含まれています。忍足さんは命の危険を感じた経験をきっかけに、1年半をかけて歩きスマホをやめることに成功しました。
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