孤立する家族の悲劇—餓死という結末
昨年12月、大阪市港区の集合住宅で、60代の母親と40代の娘が遺体で発見されました。彼女たちの死因は餓死で、所持金はほとんどなく、生活保護などの支援も受けていませんでした。この事件は、社会から孤立して支援を受けられずに亡くなる「孤立死」の典型例として社会に衝撃を与えました。

日本では10年ほど前から高齢者の孤立死が社会問題として注目され始めましたが、現在もその状況は改善されておらず、むしろ深刻化しています。特に、新型コロナウイルスの影響で社会的なつながりがさらに希薄になり、孤立する人々が増加している現状があります。
コロナ禍での失業—支援を求めた山田さん
社会福祉法人「みささぎ会」のソーシャルワーカー、藤本直之さんは、生活困窮者への支援を行っています。その支援対象の一人が山田さん(仮名)です。
今年3月、山田さんは勤めていた物流会社を解雇されました。コロナ禍で物流業界も影響を受け、仕事が激減したためです。

「仕事がなくなり、貯金も尽きて、自殺も考えました」と山田さんは語ります。山田さんは数年前まで親の介護に専念していたため、貯金を切り崩しながら生活していましたが、再び働き始めた矢先の解雇で、完全に生活が立ち行かなくなりました。孤立し、支援を求めることすら難しい状況に陥った山田さんは、偶然藤本さんの支援活動を知り、助けを求めました。
「一人暮らしの男性は孤立しやすく、助けを求めるのも難しい。だからこそ、私たちが積極的に支援の輪を広げ、相談しやすい環境を作ることが必要です」と藤本さんは言います。現在、藤本さんが所属する「みささぎ会」では、コロナ禍で失業した人々からの相談が増え続けています。
無戸籍者の現実—社会から忘れられた人々
昨年9月、大阪府高石市で、高齢の母親と二人暮らしをしていた男性が、母親の死後に無戸籍者として発見されました。彼は、母親が衰弱していく様子を見ながらも、戸籍がないために行政に助けを求めることができなかったのです。戸籍とは、日本社会において個人の存在を証明する重要なものですが、無戸籍者はその存在すら証明できません。

無戸籍者は、日本国内で国が把握しているだけで800人余りとされていますが、実際の数はさらに多いと推測されています。彼らは法的に存在しないため、行政からの支援を受けることができず、社会から完全に孤立した状態に置かれています。
無戸籍者支援に取り組む市川真由美さん
奈良市で無戸籍者を支援するNPOを運営する市川真由美さんは、無戸籍者の厳しい現実に直面しています。市川さんがこの活動を始めたきっかけは、自身の経営する会社でアルバイトをしていた従業員が無戸籍者だったことでした。

「自分が生きてきた証拠が何もないんです。『私はここにいる、ここで生まれて生きてきたのに』と訴えても、それを証明する手段がないんです」と市川さんは語ります。無戸籍者たちは、行政の書類上では存在しないことになっており、そのために様々な権利や支援を受けることができません。
市川さんが支援するMさん(仮名)は、31年間無戸籍者として生きてきました。Mさんは、父親の話によると、母親が突然生後間もない彼を連れて帰ってきたということでした。彼の出自について尋ねても、母親は答えをはぐらかし、Mさんは戸籍のないまま育てられました。
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