都を干ばつが襲い、荒れ果てた大地に住む者たちは、渇きを訴える悲痛な叫びをあげていた。200年ぶりに天皇自らが雨乞いを行う事態にまで至ったが、その願いは空しくも天に届かず、降り注ぐ雨は一滴もなかった。農作物は枯れ果て、人々の希望は絶望へと変わりつつあった。
この未曽有の危機に対処すべく、当時権勢を誇っていた左大臣・道長(柄本佑)は、既に隠居の身であった安倍晴明を訪ねた。晴明は齢を重ね、かつての力を失いかけていたが、道長は彼が最後の望みであると確信していた。

安倍晴明の葛藤と決断
「晴明殿、どうか都を救ってくれぬか」
道長の懇願に対し、晴明は静かに首を横に振った。「雨乞いなど、もはや体がもちませぬ。老いぼれの身には、そのような大業は酷でございます」と、かつての雄姿を思い返しながらも、老いた自分を自覚していた。
だが、道長は譲らなかった。
「陰陽寮には、もはや力ある者がいない。都を救えるのはお前しかいないのだ」
道長の真剣な眼差しを前に、晴明は一瞬躊躇したが、続けてこう言った。「私だけがこの身を捧げるのではなく、左大臣様も何かを差し出してくださらねば、嫌でございます」

道長はしばし黙考し、やがて覚悟を決めたように、静かに口を開いた。「私の寿命を、10年やろう」
その言葉を聞いた瞬間、晴明の瞳に決意の光が宿った。彼は刀を抜き、祈祷の準備を始めた。「それであれば、やりましょう」
雨乞いの儀式とその代償
夜が訪れ、静寂の中で晴明は祈祷を開始した。「竜神、広くあつく、雲をつ~くり、甘雨をく~だし給え。ジャッ」と独特の節回しで、深夜の空に向かって祈りを捧げた。彼の声は夜空に響き渡り、周囲の空気が緊張感に包まれる。
時間が経つにつれ、晴明の祈りはますます力強さを増し、やがて雲が集まり始めた。
夜通しで祈祷を続けた彼は、次第に力尽き、やがて地に伏すように倒れ込んだ。その姿に、従者の須麻流(DAIKI)は涙を流した。

そして、ついにその瞬間が訪れた。雷鳴が轟き、恵みの雨が都に降り注ぎ始めたのだ。
大地は潤い、人々の喜びの声が響き渡った。しかし、その歓喜の陰で、晴明の命は確実に削られていた。
雨が降り始めたその時、倒れた晴明は雨に打たれながらも、微かに微笑んでいた。その姿を見た道長は、安堵の息をついたが、同時に彼の犠牲が心に重くのしかかった。
晴明の犠牲と道長の思惑
雨乞いが成功したことで、都は一時の平穏を取り戻した。しかし、晴明が命を削ってまで行った祈祷の代償として、道長は自らの寿命を10年差し出したことを、彼の心の中で誰にも語られることはなかった。
その後、道長は権力の座に君臨し続けたが、時折夜空を見上げるたびに、晴明の祈祷がもたらした雨を思い出し、自らの寿命が刻々と減っていることを感じずにはいられなかった。

「私が差し出した10年の寿命、その行方はどこに行くのか…」道長は時折、そう呟くことがあった。彼の胸中にある恐れと後悔、それは誰にも知ることのない闇に隠されていた。
やがて、道長が迎えることとなる最期の日、その雨が彼に何をもたらすのかは、まだ誰にもわからない。しかし、確かなのは、安倍晴明がその身を犠牲にしてまで都を救ったという事実であり、それが道長の心に深い影を落としていたということだ。
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