「歳を取るって、こんなに身体が変わるものなのか……」
退職して半年。毎朝ゆっくり起きられるようになった反面、体力の低下や、記憶力の衰えを感じる日が増えていた。60歳の雅彦は、健康への不安を抱えながらも、何から始めればいいのか分からずにいた。
そんなある日、近所の図書館で開かれた“薬膳講座”にふらっと足を運ぶと、そこには白衣姿で堂々と話す女性の姿があった。
「60歳を超えてからの体は、“食べるもの”でほぼ決まります」
そう語るのは、栄養薬膳の専門家・栞(しおり)博士。彼女の話す「毎日食べたい5つの食材」が、雅彦の食卓と人生を静かに変えていくことになる――。
「カルシウムとDHA・EPAが、ぎゅっと詰まってるんです」
栞博士が最初に勧めたのは、小さな魚「しらす」。特に60歳を過ぎると、認知症や動脈硬化の予防が重要になってくるが、しらすには脳と血管を守る成分が豊富に含まれている。
雅彦は朝の納豆ご飯に、しらすをたっぷり乗せることを習慣にした。
ほんのり塩気が納豆と絶妙に合い、食欲がない日でも箸が進んだ。

「納豆のネバネバは、年齢にこそ効くんです」
ナットウキナーゼは血液をサラサラにし、血栓のリスクを下げてくれる。そしてビタミンKや大豆イソフラボンは、骨の健康とホルモンバランスにも大きく関与する。
毎朝納豆1パックを欠かさず食べるようになった雅彦。2週間ほどで便通が整い、夜の足の冷えが和らいだ気がした。腸が整えば体も軽くなるという実感があった。
「疲れた時は、缶詰の鯖やイワシでOKです」
缶詰は加工時に骨ごと煮てあるため、カルシウムが豊富。さらに青魚にはDHA・EPAがたっぷり。血管の柔軟性を保ち、脳の働きをサポートしてくれる。
雅彦は週に3回、夕食の主菜を缶詰の味噌煮に変えた。ご飯にも合い、何より調理が簡単。キッチンに立つのが面倒な日も、これなら続けられた。

「野菜の中でも、抗老化に一番向いているのはブロッコリーです」
ブロッコリーに含まれるスルフォラファンは、体内の解毒酵素を活性化し、老化の原因となる活性酸素を除去する働きがあるという。
雅彦は週末にまとめて茹で、冷蔵保存。朝食のサラダに添えたり、味噌汁に加えたりと、簡単に栄養価をプラスできる万能選手だった。
「筋肉も骨も髪も爪も、年齢と共に弱くなります。でも卵が全部をサポートしてくれます」
卵はほぼ全ての必須アミノ酸と栄養素を含む、まさに“完全食”。タンパク質不足になりがちな高齢者には最適の食品だ。
雅彦は1日1個、ゆで卵やスクランブルエッグにして食べるようになった。筋肉の衰えを感じていた脚が、徐々にしっかりしてきたことに気づく。

3か月後、雅彦は人から「最近、元気そうだね」と言われるようになった。以前より姿勢が良くなり、肌のくすみも減っていた。
食事を少し変えるだけで、体の中から変わることを実感した。そして、食べることの意味を初めて“未来への投資”として捉えられるようになった。
しらす:脳と血管を守るミネラルとオメガ脂肪酸が豊富
納豆:血液と腸を整え、体のサビを取ってくれる
青魚の缶詰:手軽にDHA・EPAとカルシウムを補給
ブロッコリー:抗酸化作用で老化予防&免疫強化
卵:タンパク質で筋肉・骨・全身の維持に貢献
どれも高価な食材ではなく、日常の食卓にすぐ取り入れられるものばかり。薬膳の知恵と現代栄養学の融合で、人生の後半も健やかに過ごせる道が見えてくる。
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