レクサス東京のショールームに現れた一組の老夫婦。それは、ごく普通の午後の出来事に見えた。しかしその瞬間から、すべては静かに動き出していた。
田中美雪――28歳の新入社員として働き始めてわずか一か月の彼女にとって、その日は忘れられない転機となる。
雨に濡れた老夫婦が店に入ってきた。ご主人は斉藤新司さん、奥様は斉藤春香さん。見た目こそ地味な服装ではあったが、背筋はまっすぐで、所作にはどこか威厳があった。
しかし、ベテラン営業マンの鈴木は、その外見だけを見て彼らを冷遇した。「こちらの車は高額でございますので」と言い放ち、斉藤夫妻を丁寧にあしらうことなく、店を出るよう仕向けた。
それを目撃した美雪は胸の中で疑問と憤りを抱きつつも、店の空気に逆らえず、何もできなかった。
斉藤夫妻は静かに店を去った。
そして翌日。
開店直前のレクサス東京の前に、3台の高級外車がゆっくりと並ぶ。
黒のメルセデスベンツ、ベントレー、そして最後に到着したのは堂々たるロールスロイス。
車から降り立ったのは、昨日の老夫婦とはまるで別人のような装いの斉藤新司・春香夫妻。そして、彼らをエスコートするのは、レクサス本社の重役・藤本信。
彼らは店内に入り、ざわつくスタッフをよそに堂々と歩く。新司は、前日冷遇された展示車の前で立ち止まり、静かに一言つぶやいた。
「このミラー、昨日妻が触れてしまった箇所ですね。」
そして、藤本が告げる。
「こちらにいらっしゃる斉藤様は、レクサスグループに多額の出資をされているキーパーソンであり、国際的なビジネス投資家です。昨日の対応について、正式に説明を求めます。」
店長の大橋、営業の鈴木は蒼白になる。
藤本は続ける。「見た目で判断し、敬意を欠いた接客は、ブランド価値を損なう重大な失態です。」
鈴木は震える声で「本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げたが、それはもはや遅すぎた。
美雪も呼ばれ、斉藤夫妻は彼女の誠実な態度を称賛する。「あなたのような人がいてくれて、本当に救われました」と春香が微笑む。
その後、藤本から正式に発表があった。
鈴木はその日をもって配置転換となり、美雪には本社勤務と新規プロジェクトへの昇進が打診された。
この一件は、業界誌やSNSでも取り上げられ、「ベンツ店で老夫婦を追い出した店員…翌日、店の前に現れた“3台の高級外車”に騒然!」と報じられる。
高級車販売の本質とは何か――外見ではなく、信頼と敬意こそが最も重要なのだという、強烈な教訓を残した出来事となった。
そして美雪はその日、確信する。
「お客様は、肩書きや見た目ではなく、心で見るもの。そして、誠実な行動は必ず誰かに届く。」
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