私の名前はハ子。結婚してからずっと、家計を管理してくれていたのは夫の拓哉だった。彼は市役所で働く真面目な男性で、私とお見合いで出会い、結婚した。最初は無口で会話も弾まなかったが、時間が経つにつれ、夫の優しさに気づき、家族として幸せな日々を送っていた。
夫は毎月きちんと生活費を渡し、貯金もしてくれた。私も子供が生まれた後は専業主婦として、夫婦で一緒に過ごす時間を大切にしていた。月に一度の外食が楽しみで、どこに行くか相談しながら選ぶのも楽しみだった。夫が小遣いで宝くじを買うことが一つの習慣で、私たちは特に贅沢をすることなく、平穏無事に過ごしていた。

しかし、ある日、そんな平穏無事な日常が突然崩れた。
ある朝、リビングに入ると、夫が新聞を片手に泡を吹いて気絶していた。その後、何事もなかったかのように突然ガッツポーズをし、万歳をして興奮し始めた。私が「何があったの?」と声をかけると、夫は目を輝かせながら叫んだ。
「当たった! ついに宝くじで2億円が当たったんだ!」
驚きと興奮が混じった声で、夫は大騒ぎを始めた。しかし、その興奮が冷めることなく、家の中は騒がしくなった。夫は「この金は俺のものだ!」と宣言し、何度も何度も宝くじ券を見せつけながら自分のものだと誇示していた。その姿に、私はただただ唖然とするばかりだった。

2億円の当選がきっかけで、夫の態度は一変した。以前は穏やかで誠実だった夫が、急に攻撃的になり、私に対しても冷たく接するようになった。私が彼に「生活費はどうするの?」と尋ねても、「勝手にしてくれ」と言い放ち、家庭内での立場も次第に悪化した。
また、夫は家のことを全く気にせず、遅くまで帰宅し、私とのコミュニケーションも減った。そのうち、帰宅時間が遅くなるたびに「お前は家にいて暇だろ?」と皮肉を言うようになり、私の在宅ワークを否定する言葉を浴びせてきた。私はただ自分のペースで家事と仕事を両立させていたが、夫はそれを全く理解しようとしなかった。
ある日、娘が「お父さん、変わっちゃったね」と私に言った。その言葉に、私は何とも言えない思いが込み上げてきた。娘にとっては、ただの一緒に過ごしている父親が、急に冷たく、暴力的な存在になってしまったのだ。それは私にとっても、受け入れがたい現実だった。
しかし、その言葉が示す通り、夫はもはや私たちの家族ではなくなっていた。金が入った途端に、自己中心的になり、周囲の人々に対する配慮を欠いた行動が目立つようになったのだ。

数日後、リビングのテーブルに一通の封筒が置かれていた。中を開けると、そこには夫が記入した離婚届が入っていた。私はその時、もうこれ以上この家庭に耐えられないと思い、離婚を決意した。
夫が変わってしまったのは、金の力だったのだろうか。彼はすでに家を出ていき、家の中からは彼の物が消えていた。
私は、離婚届を提出し、娘を守るためにこの決断を下した。

数年後、私は銀行員の同僚と再婚し、仕事も順調に進んでいた。娘も新しい父親と心を通わせ、幸せそうな日々を送っていた。そんな中、私はある日、駅で元夫に再会した。彼は相変わらず宝くじに夢中で、以前よりも不安定な生活をしているようだった。
元夫は私に「お前も相変わらず在宅ワークしてるのか?」とバカにするような言葉を吐いてきた。彼は相変わらず、金を手に入れることが全てだと勘違いしていた。しかし、その時の彼の姿を見て、私は冷静になった。今の私には彼の言葉も意味を持たない。
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